フロッグ社 代表のどうでも良い感じのBlog

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【怪奇】自分よりも若い自分に会った話

   

今日は、私が「私自身」に会った話をしましょう。

こんな話をすると、「とうとう狂ったか」と思われるでしょう。
まあ、否定しません。

さっそくですが、皆様は「ドッペルゲンガー」をご存知でしょうか?

ドッペルゲンガー、それは、自分とそっくりな姿をした、己の分身。
自分が自分自身を見たり、第三者が別々の場所で自分の存在を見る、というものです。
また、「ドッペルゲンガーを見たら死ぬ」とか「死期が近い」とも噂されていますね。

私が私自身に会ったのは、今から14〜15年くらい前になるんでしょうか。
おかげさまでまだビンビ…いえピンピンしていますので、
ドッペルゲンガーだか、ドッペルギャンガー(ちょっとアレな自転車メーカー)の
類いではなかったと言えます。

あの日見た私自身は、その時の私より何歳か若く見えたので、
タイムリープ(タイムトラベル)説が濃厚と考えられます。

ドッペルゲンガーやらタイムリープやら、
オカルトに狂ったか、と思われるでしょうが、私は大真面目。
14~15年経った今でも、あの日のことは鮮明に覚えています。

当時は20代前半。今よりも遥かにビンビ…失礼。
とにかく、今よりも元気いっぱい、性欲旺盛(でも回復力まるでダメ)、
というような、どこにでもいる普通の人間でした。

理美容関係の仕事を辞めて、安居酒屋の厨房で調理をする日々。
夢も希望もなく、ただただ過ぎて行く時間に流されながら、
安い酒、安い飯、休日は家でゴロゴロするくらい。

「おれ、このままどうなっちゃうんだろう」

子どもの頃、何の根拠も無く描いた将来像。
若くて美人でおっぱいの大きい(これ超重要)お嫁さんをもらい、
大きな家を建て、子どもは3人、良い車に乗って、カニ食べて、
年に数回は家族旅行なんかして、、、

幼少期に得られなかったこと、できなかったこと、
その全てを、大人になったら叶えたい。
いや、叶えるんだ、叶えられるはずだ。
そう言い聞かせて、信じ続けてきたのだ。

それなのに、今はどうだ。安居酒屋で何を作っているんだ。
一人が生きるのがやっとの、ちっぽけな給料で、
己の人生の何を作っているんだ!

くそー! うじうじ考えていてもダメだ!
こんなときは筋トレでもして、気分をスイッチするんだ!

1、2、3、、、4、、、、5、、、、、うぅっ、、、

腕立て伏せ、5回しかできないや。
もうやーめたっ!

「はいよー、焼き鳥あがりー。」

今日も焼き鳥や「ほっけ」の開きを焼き、皿を洗う。
明日も、明後日も、来週も、来月も、同じメニューを、同じように調理する。
ため息しか出ない。やる気なんて出るわけがない。

今日もお客さんはそこそこに入って、店内はそれなりに賑わっている。
なんたって飲み放題500円という安さが売りの居酒屋だ。

ぼんやりと客席を眺めていると、ある男の存在に気付いた。

「あ、おれがいる。。。」

時間が止まったかと思うほどの衝撃が心臓に伝わり、
心臓までも止まってしまったのではないかと錯覚した。

その男の姿は、紛れもなく数年前の自分。
髪型も、特徴的な髪の色も(昔染めていた)、数年前の自分だ。

どれくらいだろう。
数秒なのか、数分なのか分からないが、その男を呆然と見つめていた。
私の視線に気付いたのか、その男と目が合った。

私は、目を逸らすこともできずに、立ち尽くすしかなかった。
おそらく、私の口は半開きでパクパクしていたのかも知れないし、
よだれも垂らしていたのかもしれない。
そんな私をみて、その男はニヤリと笑みを浮かべ、お手洗いに立った。

なぜか「行かなくちゃ」と思った私は、その男を追うようにトイレに向かう。

 
『おいおい、しょうもない生き方してんなー。目が死んでるぞ。』

「あ、、、あ、、、」

『まあいいや。こっち側のおれは、もっとうまくやるよ。』

「え、こっち側って何、あっち側って何、なんなんだよ、、、」

『本来なら、未来から来た自分が、若い自分に何かヒントを残したり、メッセージを伝えたりするんだろうけどさ、お前の未来は“無い”からな。』

「おれの、、、みらいが、、、ないって?」

 
なんていう世にも奇妙なナンチャラとか、アンビリーバボーなことはなく、
近くでみたら全然別人、私と似ているのは髪型だけのたんなるブサイクでした。
あ、ブサイクであることは共通なんですけど、そこには触れたくない。

でも、結果的には、デザインの道に進むために、
この安居酒屋は早々に辞めることになりました。

短い間でしたが、この居酒屋では色々とお世話になり、
思い出も少なからずあります。

ひこ親方、生きてますか?
ももさん、相変わらず板前やってますか?
せいこさん、離婚してないですか?
たかせくん、君のおかげでデザインの道に進む決心がついたんだよ。

その他のみなさん、、、さすがに忘れたわ。

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